「まあ、なんて品の無い。一体どんな教育をお受けになられたの?このわたくしを怒らせるとはよっぽど命が惜しくありませんのね。ぶっ飛ばしてさしあげますわ」
17歳/160p/バイオレット/わたくし:貴方、おまえ
しんちょう/抜け目がない
パルデア地方における最大の教育機関である『アカデミー』に通う高等一般文系一年生。
長きに渡るパルデアの大貴族の一角に、カサンドラの実家がある。今やほぼ発言権は無いも等しいが、その古さと役割の重要さではある意味別格の扱いをされている。
それが、『死』にまつわるものであるから尚更である。
彼女の実家は土葬が主流だったパルデア大帝国時代で最初に『火葬』を唱えた人物であり、最終的には『エリアゼロ信仰』と交えて火葬の正当性を訴え、最終的にその位置を勝ち取り葬式を一手に担う重役となったのだ。
その背景を持つ彼女はそれ相応に有名で、『死神お嬢様』なんてあだ名があるぐらいである。ちなみに彼女はこのあだ名をいたく嫌っており、言った生徒を問答無用でバトルコートに引きずり出すぐらいはする。
お嬢様らしく気高く尊大だが、それよりも強く狂暴という面が有名であり、大体の生徒は彼女を見ただけで竦み上がる程度には恐れられている。
彼女がこうも周囲に厳しい態度を取るのは、一重に彼女は家業である『葬式』を誇り高く思っており、それを馬鹿にされるのが許せないという感情からである。
死は忌諱されるものと知ってはいても、それは避けるものではない。死には敬意を示すべきであり、荘厳であるべきだ。それを軽視し揶揄するなど許せない。
幼い頃、『死神』だのと言われたカサンドラは、そうやって怒り狂っていた。
迫害される謂れはないと彼女は元々習っていた剣術により一層熱中し、今ではアカデミーでも屈指の実力者となっている。
しかし、以前はもう少しすぐさま剣を握る性格ではなかった。そのきっかけは、アカデミーに蔓延っていたイジメ問題である。
二年と少し前。このアカデミーには多くの問題があった。その中でイジメが根深く、最終的にひとが自ら命を断とうとする事件が発生した。
カサンドラはこれが許せず、それを引き起こした存在――パルデアでも屈指の大貴族の娘に詰め寄った。
誇り高い貴族である己達が、このような醜いイジメ問題に加担するなど許せない。カサンドラの強い問いかけに、彼女は――「そんなつもりはなかったんですの……」「だって、皆があの子を悪い子というからただ、注意しただけで……」と。
愕然とした。まるで主体性が無く、罪を犯した自覚すらない。悪意に流されて、下へ下へと降っていく有様。
主体性と罪の意識などなく、あるがまま、楽しいから、それが面白いからと、簡単にひとの命すら毟り取れる。
カサンドラは激怒し――そして、理不尽な相手には剣で分からせるとんでもないお嬢様が爆誕することとなった。
そうして、彼女は誰の理不尽にも負けないという誓いのため、強さを求めるようになっていく。
『宝探し』に賭けるものは、『誰よりも強くなるという武者修行』だ。
その為には、ひとりで旅に出て生活し、やっていくしかない。
本来、課外授業は未成年ひとりで旅に出てはならないという校則があるが、カサンドラは強行突破してそのままひとりで旅だった。
が、所詮世を知らぬ温室育ちのお嬢様だ。あっという間に色々と騙されてしまい、ついには怪しい集団に取り囲まれてしまう。
そんなところを発見し、助けたのがオリビアだったのである。
カサンドラはオリビアを知っていた。彼女は確か、己の幼馴染と旅に出るとか出ないとかで決闘騒ぎを起こし、代理人を立ててその試合を行うという卑怯な事をしたから許せないと思っていた。
そんな女に助けられたなんて腹が立つとカサンドラは助けを拒絶。そのままひとり旅を続行したが……結局、また同じようにピンチを繰り返し、結局オリビアに助けられることになる。
あくどい手段で幼馴染を手ひどく突き放した悪女。そう思っていたカサンドラだったが、彼女と接していて気づくのだ。
どうして、彼女はそこまでして幼馴染と距離を取ろうと画策したのだろう?
その疑問が答えになるのは――幼馴染に腕を掴まれて言い合いをするオリビアの姿を見た時だった。
以後、カサンドラはオリビアの旅に同行しながら考えている。
理不尽とは、一体何なのか。己は強くなりたいし、正しい事の為に力を主張したいのに。その理不尽は、正しさは、答えがあるのか、と。
:戦闘方法は炎を纏った双剣。素早い剣戟が得意です。
オリビア(マスカーニャ♀)…ライバルのようなもの。よく言い合うが仲は悪くない。
ヘリオトー(ドンカラス♂)…護衛とは把握している。胡散臭いと思っていたがごはんめっちゃ食べるから悪いやつではないと思ってる。
サンディアゴ(クエスパトラ♂)…保護者役。ただ格好はどうかと思ってる。
マルガリータ(イルカマン♀)…友達。明るくていい子だと思ってる。
ビビアナ(デカヌチャン♀)…後輩。強さを求める姿勢は良いと思ってる。
セイナダ(セグレイブ♀)…一方的に知っていて問い詰めた。未だにその性根が変わっていないことに怒りを禁じえない。