Scolding of the ocean

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▼ まどろみ

その女がその場にいたのは、ただの偶然であった。


その女は世界の破滅を見た。
滅びの雨が降る。
血が降り、大地が燃える。惑星の叫び。人類の終わり。時代の終焉。
女はそれを見てしまう。

私は全てに置き去りにされる。
もう、全てが手遅れであることに気づいたのには、己が「魔人」という新人類になれず、新たなる時代の先へと進めない事を理解するのとは同義だった。

星が落ちてくる。
女の目には、その強烈な星が焼き付いた。


そして、世界は滅びなかったのだ。ありとあらゆる世界の奇跡を超えて、女は世界を練り歩く。再生した世界。生き残らせた世界。そして、奇跡によって生き延びることになった世界。
神は習合し、奇跡は成され、命は燃え尽き、星は成った。

女は見た。その星の兆しを。
新たな時代の幕開けのその最中。アレイスター・クロウリーという星が降るのを。
因果を捻じ曲げる。ありとあらゆる奇跡の清算に、「巨人」という災厄をもたらすことで、星に災厄と神秘の時代を終わらせるため、神という心臓がいつしかただの神秘に成り果て手を離す時代が来た事を女は予見した。
女は生きる。ガラルという地。火が落ちる場所。神秘の王が住まい、そしてこの世界に定着した神すらを引きはがそうとする時代の新たな点。
女は歩く。新たな時代の星を。

アレイスター・クロウリーの最終目標は自分という「人間」の革新、神を討ち人間による人間の為の統治を行うこと。
ポケモンは「人間」ではない。社会性を持ちながら既にすたれていく「適者生存」「弱肉強食」というかつてのルールから脱却するため、理性による理性の統治、万人が社会で生きるのを許される時代、それによる世界の書き換え。

アレイスター・クロウリーとは、ひとが祈った命の答え。流星が自身を「人間である」と指標にした「願いを叶える最終形態」、ポケモンという生命ステージを「人間」に近づけるためのもの。仮想敵。悪なるものとして成立するが同時に「人間」というモデリングに近い。

世界を切り裂く星を望む女。女は、時代の終焉を願い、ひとの時代を待ち望む。